再現・遺言の書き方教室その3~遺言を残しておいた方がよいケース
こんにちは、福岡県久留米市のおちいし司法書士事務所の落石憲是です。
先日やった遺言セミナーの再現の3回目を始めま~す。
「遺言書がないことでトラブルが発生することが多いケース」のお話し。
これから説明するのはあくまでも例示です。
わたしは、みなさんに遺言を書いていただきたいなと思っています。
まず、ひとつは、子ども同士の仲が悪いケース!
もともと兄弟仲が悪いなら、相続手続きでもめそうなことは容易に予想できます。
では、なぜもめたら相続手続きで困るのでしょう?
法律的には、人が亡くなった瞬間に、亡くなった方の財産は、相続人へそれぞれの相続分に応じて引き継がれます。
しかし、実際に、不動産の名義変更や預金の解約の手続きをするには、相続人全員で遺産分けの話し合い(遺産分割協議といいます)をして、遺産分割協議書に相続人全員が実印を押したものと印鑑証明書、戸籍関係がないと手続きができません。
だから、もめることが予想されるなら、遺言を書いておくのが親としての最後の仕事なのではないでしょうか?
つぎに、お子さんがいらっしゃらないご夫婦!
法律相談会などでもよくご相談を受けるのがこのケースです。
では、子どもがいない夫婦で、ご主人が亡くなったとしましょう。
そのご主人の財産は、全部奥さまのものというわけではないんですよ。
- ご主人の親がお元気なら奥さまとご主人の親が相続人
- 両親ともなくなっていたら、奥さまとご主人の兄弟
が相続人になるのです。
だから、すべての財産を、夫だったら妻に、妻なら夫に相続してもらいたいのなら、「遺言」を書いておかないといけないのです。
不動産が唯一の遺産というケース。
不動産が分けづらい。すぐ売れるような物件であれば、売却代金を分けるといいけど、売れそうにない不動産だと困りますよね。
遺言で不動産をどうして欲しいかを書いておくと、相続人は助かるのではないでしょうか?
配偶者の連れ子がいるケースや内縁関係にある夫婦も問題になりやすいです。
配偶者の連れ子がいる場合は、何の手続きをしなければ、親子関係はないので、子どもには相続権がありません。
遺言を残すか、養子縁組をするかしなければ、配偶者の連れ子に財産を残すことはできません。
同様に、内縁関係の夫婦はお互いに相続権がないので、パートナーに相続してもらいたいなら、遺言が必要です。
法定相続人の中に連絡が取りづらい方や、行方不明の方がいるケース。
先ほどもお話したように、遺産分けの話し合いは相続人全員で合意しなければなりません。
- 相続人の中に連絡が取れない方がいたら、手続きはできないのでしょうか?
- 相続人の中に認知症で判断能力が衰えている人がいたらどうすればいいのでしょう?
行方不明の方には「不在者財産管理人」、認知症の方には「成年後見人」という代理人をつけて、遺産分割協議をすることになります。
どうやって選ばれるかというと、家庭裁判所での手続きが必要になってくるので、すぐに手続きを進めることはできないし、遺産分割の内容も裁判所が判断します。
その人の法定相続分を下回るような不利な遺産分割には許可が下りません。
だから、事前にわかっているのであれば、遺言を書いておくといいでしょう。
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