取締役1名の有限会社は、契約書には「会社名・代表取締役・氏名」と書いていいですか?
こんにちは、福岡県久留米市 おちいし司法書士事務所の落石憲是です。
以前書いたブログ記事に、コメントをいただきました。
それは、有限会社の取締役がひとりになったときの代表者の肩書のこと。
そのご質問は、実は、有限会社の代表者さんからよく聞かれること。
有限会社において「取締役が1名になったため代表取締役の氏名抹消」の登記をした後は、対外的な書類や名刺などに「代表取締役」という肩書きは使えない(使ってはいけない)のでしょうか?
たとえば、何らかの契約書などにサインするときはたいてい「会社名・代表取締役・氏名」という形で書くのが普通ですが、これを取締役1名になった後は「会社名・取締役・氏名」と書かないといけないのでしょうか。それとも便宜上「代表取締役」を使ってもいいのでしょうか。
会社法が施行されて以降、新たに有限会社を作ることはできなくなりましたが、
既存の有限会社は、今もなお特例有限会社として存在します。
会社法的には株式会社の一類型という扱いですが、登記法は変更されませんでした。
株式会社と有限会社とで大きく異なる点が、役員の登記事項。
株式会社は
取締役=氏名
代表取締役=住所+氏名
取締役が1人でも代表取締役は登記される
ですが、
有限会社は
取締役=住所+氏名
代表取締役=氏名
取締役が1人だと代表取締役は登記されない
ところです。
ですので、取締役が1人の有限会社の代表者の肩書は、「取締役」になるのです。
だから、契約書などには、登記簿に載っているとおり「取締役 ◯◯」と記載して、代表印(届出印)を押すべきでしょう。
ただ、
ほとんどの人が「代表取締役」があって当然だと考えているので、いちいち「有限会社で役員一人だから代表という肩書きはつかなくて…」と説明するのも骨が折れるし、理解されない気がします。
というのもよく分かります。
一般的に「取締役」と聞くと、代表権のない平の取締役という感じがしますよね。
代表者であることの説明がわずらわしいようでしたら、
名刺などには、たとえば、「代表 ◯◯」という表記とかはいかがでしょうか?
ちゃんと「代表取締役 ◯◯」と名乗りたいのであれば、
- 取締役を1人追加する
- 株式会社に移行する
のいずれかの方法を取るしかないでしょう。
費用としては、
1.は役員変更登記ですので、登録免許税1万円(or3万円)+司法書士報酬となり、2.よりは費用はかかりません。
2.は、手続き的には商号変更ですが、登記としては、有限会社の登記簿を閉じて、新たに株式会社の登記簿を作ることになります。
有限会社の解散の登記+株式会社の設立登記をしますので、手続き費用は、登録免許税3万円+3万円と司法書士報酬となります。
(なお、株式会社への移行時に増資する場合は登録免許税が3万円以上になることはあります)
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