おちいし司法書士事務所@福岡県久留米市のブログ

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登記簿上の住所の変更とDV被害者

たとえば、不動産をお持ちの方が、その不動産を売却するとき。

売主さんの現在の住所が、登記簿に書かれている住所と異なるときは、売買による名義変更登記の前提として、売主さんの登記簿上の住所の変更登記をしなければなりません

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この住所変更の登記に必要な書類は、

登記簿上の住所から現在の住所への移転の経緯がわかる住民票か戸籍の附票になります。

 

住所変更の登記をすることで、売買による名義変更登記に売主さんが提出する「印鑑証明書」の住所と登記簿の住所が一致することによって、登記簿に書かれた人と売主さんが同一人物だと判断できるわけです。

 

しかし、DV被害者やストーカー被害者など、現住所が知られたくない事情がある方もいらっしゃいます。登記簿は、だれでも法務局で取ることができますので、被害者の方がこの住所変更の登記をしてしまうと今の住所地を知られてしまうおそれがあります。

 

そこで、このような事情がある方の場合は、住所変更の登記をしなくてもよいという先例(平成25 年12 月12 日付法務省民二第809 号)が出されました。

 

【参考】

「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律第1条第2項に規定する被害者が登記義務者となる所有権の移転の登記の前提としての住所の変更の登記の要否について(照会)」

 

所有権の移転の登記の申請に当たり,その登記義務者が登記記録上の住所から転居している場合には,当該所有権の移転の登記の前提として,登記記録上の住所を現在の住所へ変更することを内容とする登記名義人の住所についての変更の登記をする必要があるとされておりますが,当該登記義務者が配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(平成13年法律第31号。以下「DV防止法」という。)第1条第2項に規定する被害者として住民基本台帳事務処理要領(昭和42年10月4日付け法務省民事甲第26 7 1号法務省民事局長,保発第39号厚生省保険局長,庁保発第22号社会保険庁年金保険部長. 42食糧業第2668号(需給)食糧庁長官及び自治振第150号自治省行政局長通知)第6の10の措置(以下「支援措置」という。)を受けている者(以下「被支援措置者」という。)であり,かつ,当該被支援措置者から下記の取扱いによることの申出があったときは. DV防止法第2条の規定の趣旨に鑑み,当該取扱いによることができるものと考えますが,いささか疑義がありますので,照会します。

   記

1 所有権の移転の登記の申請における登記義務者が被支援措置者である場合においては,当該登記義務者が登記記録上の住所から転居しているときであっても,当該所有権の移転の登記の前提として,当該登記義務者である登記名義人の住所についての変更の登記をすることを要しない

 

2 1の所有権の移転の登記の申請をする場合には,登記義務者に係る住所について変更があったことを証する市町村長その他の公務員が職務上作成した情報(公務員が職務上作成した情報がない場合にあっては, これに代わるべき情報)及び支援措置を受けていることを証する情報を提供しなければならない

 

3 1の所有権の移転の登記の申請がされた場合において,不動産登記法(平成16年法律第123号。以下「不登法」という。)第23条第1項の規定により通知をしなければならないときは,当該登記義務者の現在の住所に宛てて通知する。

 

4 1の所有権の移転の登記の申請が不登法第18条第1号の規定による電子情報処理組織を使用する方法によってされた場合には,登記完了証に記録する登記義務者の住所については,登記完了証の記録内容に係る編集機能を使用して,登記記録上の住所を記録して作成する。

 

5 1の所有権の移転の登記に係る申請書及びその添付書面その他の登記簿の附属書類を申請書類つづり込み帳につづり込む場合には,当該申請書の1ページ目の適宜の箇所に当該登記に係る申請が被支援措置者によるものであることが一見して明らかになるような措置を施し,当該附属書類が廃棄されるまでの間,当該措置を継続する。

 

6 5の附属書類に係る閲覧請求については,原則として,当該被支援措置者又はその代理人以外の者は不登法第121条第2項ただし書に規定する利害関係を有しないものとし,また,当該代理人からの閲覧の請求の場合は不動産登記規則(平成17年法務省令第18号)第193条第4項に規定する当該代理人の権限を証する書面に当該被支援措置者が記名押印し,その印鑑に関する証明書(不動産登記令(平成16年政令第379号)第16条第2項に規定する印鑑に関する証明書をいう。)を添付して提供しなければならない。

 

 

「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律第1条第2項に規定する被害者が登記義務者となる所有権の移転の登記の前提としての住所の変更の登記の要否について(回答)」

本月5日付け不I2第629号をもって照会のありました標記の件については,貴見のとおり取り扱って差し支えありません

 

なお,照会のありました取扱いは,ストーカー行為等の規制等に関する法律(平成12年法律第81号)第7条に規定するストーカ一行為等の相手方,児童虐待の防止に関する法律(平成12年法律第82号)第2条に規定する児童虐待を受けた児童等として,住民基本台帳事務処理要領(昭和42年10月4日付け法務省民事甲第26 7 1号法務省民事局長,保発第39号厚生省保険局長,庁保発第22号社会保険庁年金保険部長, 42食糧業第2668号(需給)食糧庁長官及び自治振第150号自治省行政局長通知)第6の10の措置を受けている者登記義務者であるときも同様であり,また,所有権の移転の登記のほか,抵当権その他の権利の移転の登記についても同様に取り扱って差し支えないものと考えますので,その旨を申し添えます。