不動産の所有権って、放棄できるの?
こんにちは、福岡県久留米市のおちいし司法書士事務所の落石憲是です!
12月に入りましたので、大掃除を始められた方もいらっしゃるかと思います。
わたしは大掃除ではありませんが、事務所の本棚に本が入らなくなってきたので、
もう読むことはなさそうな本や資料をたくさん捨てました。
本とかなら、簡単に処分できます。
たとえば、誰も住まなくなった「家」。
買ってくれる人が見つかればいいのですが、
売れそうにない物件だったら、
所有権を放棄して、国や自治体に引き取ってもらうことはできるのでしょうか?
民法の第239条2項には、
所有者のない不動産は、国庫に帰属する。
とあります。
それでは、不動産の所有者が、その所有権を「放棄」したら、
国が引き取ってくれるのでしょうか?
その答えは、民法などには規定されていないようですが、
不動産登記の先例に参考になる質疑応答があります。
どういう内容かというと、
ある神社の所有地の一部が、がけになっていて今にも壊れそうになっている。
この工事に要する費用が高額で、所有者には支払うことができない。
この状況を放置しておくと、周辺住民が危険にさられれてしまう。
だから、所有者は、所有権を放棄して国に引き取ってもらって、国の資力によって危険防止を計るのが最善であると考えた。
これに対する法務省の回答は、
所有権の放棄はできない。
(昭和41年8月27日付民事甲第1953号)
【参考】
ちなみに、複数人で共有している物件でしたら、
「共有持分の放棄」はできます。
民法第255条
共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。
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