数次相続のケースで最終的な遺産分割協議の結果のみが記載された遺産分割協議書による相続登記の可否【平成29年3月30日民二第236号 】
こんにちは、福岡県久留米市のおちいし司法書士事務所 落石憲是です。
先週の金曜日、お花見ではなく、
福岡県南部の司法書士でおこなっている勉強会に久しぶりに参加しました。
その中で、最近法務省から出た相続登記関連の通達が話題にのぼりました。
そのうちのひとつ、
数次相続が生じている場合において最終的な遺産分割協議の結果のみが記載された遺産分割協議書を添付してされた相続による所有権の移転の登記の可否について(回答)
Aを所有権の登記名義人とする甲不動産について,別添の相続関係説明図記載のとおり遺産分割が未了のまま数次相続が発生したことを前提に,Eの相続人の一人であるGから,Gが甲不動産を相続したことを内容とする遺産分割協議書を登記原因証明情報の一つとして添付した上で「年月日B相続,年月日E相続,年月日相続」を登記原因とするGへの所有権の移転の登記の申請は1件の申請でできる。
「A名義の不動産をGが単独で相続した旨の記載があるのみ」の
遺産分割協議書でOKとしたことには驚きましたね。
単独相続が中間において数次行われた場合には、
相続を原因とする所有権の移転登記を1件の申請で行うことができ、
この単独相続には遺産分割により単独相続になった場合も含まれる
というのが登記実務です。
(昭和30年12月16日付け民事甲第2670号民事局長通達)
これまで何度も、数次相続の相続登記をさせていただいたことがあります。
その際は、上記の通達の事例のケースでは、遺産分割協議書の中に、
- 1次相続では、Bが相続したこと
- 2次相続では、Eが相続したこと
- 3次相続では、Gが相続したこと
を記載し、相続人全員から署名押印していただいていました。
この通達では、遺産分割協議書の記載の趣旨は
第一次相続から第三次相続までの相続関係から合理的に推認すれば、
- 第一次相続の相続人の地位を承継した者(FからSまで)により亡Bに甲不動産を承継させる合意
- 亡Bを被相続人とする第二次相続の相続人(J, K及びL) 及び相続人の地位を承継した者(F,G, H及び1)により亡Eに甲不動産を承継させる合意
- 亡Eを被相続人とする第三次相続の相続人(F,G, H及び1)によりGに甲不動産を承継させる合意
の各合意をいずれも包含するものと解され、
第一次相続から第三次相続までの遺産分割協議をするのに必要な者によって
それぞれの遺産分割が行われたと考えられるから登記できるそうなのです。
法務局がいつもこのように合理的な推認をしてくれるのであればいいのですが、
先例がないとなかなか認めてくれないんですよね。
この通達に関する解説が、早く雑誌などに掲載されるといいなぁ。
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相続登記における被相続人の同一性証明【平成29年3月23日民二第174号】
こんにちは、福岡県久留米市のおちいし司法書士事務所 落石憲是です。
わたしの事務所のメインの仕事のひとつ、
相続登記(相続による名義変更)については、
来月下旬からスタート予定の法定相続情報証明制度をはじめ、
いろいろな動きがあります。
空き家対策の観点からも、相続登記の促進がうたわれていますから、
新聞報道などで目にする機会があると思います。
そんな中、きょうのブログのタイトルにある通達【平成29年3月23日民二第174号】が先日出ていました。
被相続人の同一性を証する情報として住民票の写し等が提供された場合における相続による所有権の移転の登記の可否について
相続による所有権の移転の登記(以下「相続登記」という。)の申請において,所有権の登記名義人である被相続人の登記記録上の住所が戸籍の謄本に記載された本籍と異なる場合には,相続を証する市区町村長が職務上作成した情報(不動産登記令別表の22の項添付情報欄)の一部として,被相続人の同一性を証する情報の提出が必要であるところ,
当該情報として,
不在籍証明書及び不在住証明書など他の添付情報の提供を求めることなく被相続人の同一性を確認することができ,当該申請に係る登記をすることができる。
- 住民票の写し(住民基本台帳法第7条第5号,第12条。ただし,本籍及び登記記録上の住所が記載されているものに限る。)
- 戸籍の附票の写し(同法第17条, 第20条。ただし, 登記記録上の住所が記載されているものに限る。)
又は- 所有権に関する被相続人名義の登記済証(改正前の不動産登記法第60条第1項)の提供があれば,
被相続人の名義の不動産の登記簿上の住所が本籍地と異なるときは、
戸籍の附票などで、登記簿上の被相続人が戸籍の被相続人を同一人物であることを
証明しないといけないことは、実務上行われています。
亡くなられてすぐに相続登記をする場合は、
戸籍の附票や住民票などは取れるので問題ないのですが、
長い間名義変更をせずにいると、戸籍の附票や住民票が廃棄されて
取れないケースが出てくるのです。
(住民票や戸籍の附票の保存期間は現状では5年となっていますが、
もっと長くしていただきたいものです。)
取れないときに、どうやって同一性を証明するかというと、
実務上、
- 不在籍証明書、不在住証明書
- 登記済証(いわゆる権利証)
- 固定資産税の評価証明書
などを添付していました。
それでは、これまでの実務慣行を明文化しただけのように思えますが、
実は、過去に、これに関することで法務局から補正するよう
指示されたことがありました。
相続登記で、被相続人の登記簿上の住所と本籍地が異なるケースで、
登記簿上の住所が載っていると思われる戸籍の附票が廃棄処分されていたので、
登記済証を添付して申請したところ、
法務局から、
不在籍証明書と不在住証明書を追加してください!
と言われたのです。
※不在籍証明書、不在住証明書については、コチラに書いてます。
今回の通達が出た以降だったら、補正の指示はなかったでしょうね。
また、
所有権に関する被相続人名義の登記済証
とあるので、
被相続人名義への登記をしたときに「登記識別情報」を交付されていたなら、
その登記識別情報のほか、
不在籍証明書と不在住証明書も合わせて添付しなければならない
ということになりそうですね。
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田畑を宅地にするには農業委員会の許可が必要です
こんにちは、福岡県久留米市のおちいし司法書士事務所の落石憲是です。
宅地は売買契約すれば名義変更できるのですが、
田んぼや畑といった農地は、契約だけでは名義変更できません。
農業委員会の許可をもらわないと売買契約が有効とはならず、
名義変更の登記もできません。
(登記申請書の添付書類として、農地法の許可書が必要!)
また、
農地を宅地にするのにも農業委員会の許可が必要です。
わたしの事務所のある福岡県久留米市では、その許可手続きがちょっと変わるそうです。
久留米市のホームページによると、
現在、県の許可を得ることが必要な農地転用許可について、平成28年12月28日、久留米市は、県内で初めて国から指定を受け、県から許可権限を移譲されることとなりました。
これにより、従来申請から許可まで約40日間かかっていたのが、最短で15日間と大幅に期間を短縮することが出来るようになります。
平成29年4月1日より、農地転用許可については、久留米市農業委員会で交付することになりますので、農地法第4条及び第5条の規定に基づく許可申請書の様式が変わります。
あわせて、農地転用許可申請書の受付窓口についても、下記の通り変更されます。
久留米市:農地法第4条・第5条 農地転用許可申請書(平成29年4月1日以降)
からダウンロードできます。
行政への許可申請の代行は、
【司法】書士ではなく、
【行政】書士の仕事だから。
このことは、久留米市のホームページに
ただし、行政書士でない者が、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類を作成することを業とすることは行政書士法違反となり、刑事罰が科されることがあります。
と書いてありました。
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