どういう原因で休眠抵当権を抹消するか?
こんにちは、福岡県久留米市のおちいし司法書士事務所の落石憲是です。
前回の「休眠抵当権の抵当権者(個人)が知っている人だったら?」のつづき。
裁判をして、休眠抵当権を抹消することに決めることはいいけど、
考えなければならないことがあります。
どういう理由(登記原因)で抵当権を抹消するか?
通常の住宅ローンの抵当権だったら、
完済したら、「弁済」や「解除」
保証会社の抵当権だったら、「主債務消滅」
という理由で抹消します。
しかし、今回の抵当権は、昔々のもの。
書類が残っている可能性はほとんどないでしょうから、
時の経過によって、「時効消滅」したことを利用するのが一般的でしょう。
抵当権などの担保権の消滅時効の期間は20年です。(民法167条2項)
第167条(債権等の消滅時効)
1.債権は、10年間行使しないときは、消滅する。
2.債権又は所有権以外の財産権は、20年間行使しないときは、消滅する。
でも、今回のケースでは抵当権が2件あって、
それぞれ時効の起算日が違っているので、
抹消登記を2件申請する必要があります。
ほかに何かないかと古い登記簿(閉鎖登記簿謄本)をよ~~くみてみたら、
なんと明治36年3月21日に、抵当権者がこの土地を買っていたことを発見!!!
(「売買」とあるけど、「代物弁済」だったのかもしれませんね。)
だから、消滅時効でなく、「混同」という理由で抹消することにしました。
これだと、2件の抵当権を1つの申請書で抹消登記をすることができるんです。
実際、裁判の期日に裁判官も
「ふつうは時効消滅で抹消されることがほとんどで、混同は珍しいですね」
とおっしゃられましたが、
上記のような理由だとご説明しました。
つづきは次回!
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▼関連記事
休眠抵当権の抵当権者(個人)が知っている人だったら?
こんにちは、福岡県久留米市のおちいし司法書士事務所の落石憲是です。
これまでに2度、休眠抵当権のことを書きました。
いずれのケースも何度も手続きをさせていただきましたが、
今回、はじめてのケースに出会いました。
最初は、親から子への生前贈与のご相談でした。
登記情報を確認すると、たしかに親名義の不動産でしたが、
1筆だけ、明治時代に登記された抵当権が2つ(どちらも同一人物が抵当権者)
登記簿に残ったままになっていました。
そのことをお客さまにご説明すると、
「その方は知っています。
曾祖父にあたる人です。」
とおっしゃったのです。
それを聞いた私はビックリ(@@)
土地の所有者の方が昔の抵当権者のことをご存じであることは
ほとんどないだろうと思っていました。
だって、100年くらい前の人のことですから。
しかし、今回のお客さまのようにご先祖様だったらありえますね。
お客さまは、今回、この休眠抵当権の抹消もご希望でした。
さて、どうするか?
以前書いたケースでは、
供託して抹消登記をしましたが、
抵当権者を知っていると聞いたからには、この方法は使えません。
抵当権者の相続人を探す必要があります!
抵当権者は江戸時代のお生まれでしたので、
今、戸籍を請求しても廃棄されて取れなかったと思います。
でも、お客さまが30年ほど前に別の相続登記をされたときの戸籍を
保管されていて、その中に必要な戸籍があったので、
相続人を調べることができました。
総勢28名!!!
抵当権を抹消する方法は、
- 原則どおり、抵当権者全員と土地の所有者とで共同申請
- 裁判をして、勝訴判決をもとに土地の所有者だけで申請
の2通り。
1.だと、(抵当権の登記済証はないででしょうから、)
相続人全員に印鑑証明書をご準備いただく必要がありますし、
全員に法務局から事前通知がなされます。
事前通知はだれか一人でも期限までに法務局に返信しなければ
やり直しになってしまうリスクがあります。
(法務局からも嫌がられるでしょうね。)
※事前通知のことはコチラをお読みください。
だから、2.の裁判手続きを利用して手続きをすることにしました。
いきなり裁判所から訴状が届いたらびっくりされるでしょうし、
気分を害されて訴状を受け取らない人がいるかもしれません。
すると、手続きが進みません。
そこで、この抵当権者の相続人全員あてに
抹消登記手続きへの協力依頼の手紙を送りました。
数か月かかりましたが、全員から協力していただけるとの返事をいただき、
いよいよ裁判。
つづきは、次回!
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▼関連記事
平成28年度も休眠会社の整理手続きがあります!
こんにちは、福岡県久留米市 おちいし司法書士事務所の落石憲是です。
長年、登記をしていない会社・法人の整理手続きが、今年もおこなわれます。
↓
あなたの会社は、ちゃんと登記手続きをしていますか?
休眠会社・休眠一般法人の整理作業の流れ
(法務省ホームページより)
平成28年10月13日(木)の時点で
に該当する会社・法人は、
平成28年12月13日(火)までに
- 役員変更などの登記の申請
- 「まだ事業を廃止していない」旨の届出
のいずれかをしないと解散したものとみなされ、登記官が職権で解散の登記をします。
「まだ事業を廃止していない」旨の届出をしたとしても、そのままほったらかしにしていると、また来年通知が来ることになりますので、早めに必要な登記手続きをするようにしましょう!
ちなみに、有限会社も対象外になっています。
それから、12年以内(5年以内)に登記事項証明書や会社・法人の印鑑証明書を取ったことがあっても、この整理手続きには関係ありませんので。
長い間、登記手続きをしていない会社や法人の経営者の方、ご担当者の方、
自分のところが大丈夫なのかご確認されてはいかがでしょう?
わからない場合は、司法書士にご相談ください!
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