おちいし司法書士事務所@福岡県久留米市のブログ

このブログでは、おもに相続・遺言、登記手続きのことについて書いていきます。

おちいし司法書士事務所の新しいホームページ→https://office-ochiishi.com/

平成30年4月以降のブログは、上記ホームページのブログのコーナー

で更新しています!

どういう原因で休眠抵当権を抹消するか?

こんにちは、福岡県久留米市のおちいし司法書士事務所の落石憲是です。

 

前回の「休眠抵当権の抵当権者(個人)が知っている人だったら?」のつづき。


裁判をして、休眠抵当権を抹消することに決めることはいいけど、
考えなければならないことがあります。

 

どういう理由(登記原因)で抵当権を抹消するか?

f:id:ochiishi:20161031093452j:plain

 

通常の住宅ローンの抵当権だったら、

完済したら、「弁済」「解除」

保証会社の抵当権だったら、「主債務消滅」

という理由で抹消します。

 

f:id:ochiishi:20161031095748j:plain

 

しかし、今回の抵当権は、昔々のもの。

書類が残っている可能性はほとんどないでしょうから、
時の経過によって、「時効消滅」したことを利用するのが一般的でしょう。

 

抵当権などの担保権の消滅時効の期間は20年です。(民法167条2項)

第167条(債権等の消滅時効
1.債権は、10年間行使しないときは、消滅する。
2.債権又は所有権以外の財産権は、20年間行使しないときは、消滅する。

 

でも、今回のケースでは抵当権が2件あって、
それぞれ時効の起算日が違っているので、
抹消登記を2件申請する必要があります。

 

ほかに何かないかと古い登記簿(閉鎖登記簿謄本)をよ~~くみてみたら、

f:id:ochiishi:20161031100608j:plain

なんと明治36年3月21日に、抵当権者がこの土地を買っていたことを発見!!!

(「売買」とあるけど、「代物弁済」だったのかもしれませんね。)

 

だから、消滅時効でなく、「混同」という理由で抹消することにしました。

これだと、2件の抵当権を1つの申請書で抹消登記をすることができるんです。

 

実際、裁判の期日に裁判官も

「ふつうは時効消滅で抹消されることがほとんどで、混同は珍しいですね」

とおっしゃられましたが、

上記のような理由だとご説明しました。

 

つづきは次回!

 

▼手続きのことでご不明な点などございましたら、お気軽にお尋ねください!

f:id:ochiishi:20140603154305j:plain

              ↑  ↑  ↑

お問い合わせフォームもご用意しています。24時間受け付けています。

電話はちょっと。。。という方は、お気軽にお問い合わせフォームからお問い合わせください!

 

▼オススメ本

休眠担保権に関する登記手続と法律実務―不動産登記法70条3項後段特例、清算人選任、公示催告・除権決定、抵当権抹消訴訟―
 

 

  ▼関連記事

休眠抵当権の抵当権者(個人)が知っている人だったら?

こんにちは、福岡県久留米市のおちいし司法書士事務所の落石憲是です。

 

これまでに2度、休眠抵当権のことを書きました。

 


いずれのケースも何度も手続きをさせていただきましたが、
今回、はじめてのケースに出会いました。

 

 

最初は、親から子への生前贈与のご相談でした。 

登記情報を確認すると、たしかに親名義の不動産でしたが、
1筆だけ、明治時代に登記された抵当権が2つ(どちらも同一人物が抵当権者)
登記簿に残ったままになっていました。

 

そのことをお客さまにご説明すると、

「その方は知っています。
 曾祖父にあたる人です。」

とおっしゃったのです。

 

それを聞いた私はビックリ(@@)

土地の所有者の方が昔の抵当権者のことをご存じであることは
ほとんどないだろうと思っていました。

だって、100年くらい前の人のことですから。

しかし、今回のお客さまのようにご先祖様だったらありえますね。

 

お客さまは、今回、この休眠抵当権の抹消もご希望でした。

さて、どうするか?

 

f:id:ochiishi:20161027151819j:plain

 

以前書いたケースでは、

供託して抹消登記をしましたが、

抵当権者を知っていると聞いたからには、この方法は使えません。

抵当権者の相続人を探す必要があります!

抵当権者は江戸時代のお生まれでしたので、
今、戸籍を請求しても廃棄されて取れなかったと思います。

でも、お客さまが30年ほど前に別の相続登記をされたときの戸籍を
保管されていて、その中に必要な戸籍があったので、
相続人を調べることができました。

 

総勢28名!!!

 

抵当権を抹消する方法は、

  1. 原則どおり、抵当権者全員と土地の所有者とで共同申請
  2. 裁判をして、勝訴判決をもとに土地の所有者だけで申請

の2通り。

 

1.だと、(抵当権の登記済証はないででしょうから、)
相続人全員に印鑑証明書をご準備いただく必要がありますし、
全員に法務局から事前通知がなされます。

事前通知はだれか一人でも期限までに法務局に返信しなければ
やり直しになってしまうリスクがあります。

(法務局からも嫌がられるでしょうね。)

 

※事前通知のことはコチラをお読みください。


だから、2.の裁判手続きを利用して手続きをすることにしました。

 

いきなり裁判所から訴状が届いたらびっくりされるでしょうし、
気分を害されて訴状を受け取らない人がいるかもしれません。
すると、手続きが進みません。

 

そこで、この抵当権者の相続人全員あてに
抹消登記手続きへの協力依頼の手紙を送りました。

 

数か月かかりましたが、全員から協力していただけるとの返事をいただき、
いよいよ裁判。

 

つづきは、次回!

 

▼手続きのことでご不明な点などございましたら、お気軽にお尋ねください!

f:id:ochiishi:20140603154305j:plain

              ↑  ↑  ↑

お問い合わせフォームもご用意しています。24時間受け付けています。

電話はちょっと。。。という方は、お気軽にお問い合わせフォームからお問い合わせください!

 

▼オススメ本

休眠担保権に関する登記手続と法律実務―不動産登記法70条3項後段特例、清算人選任、公示催告・除権決定、抵当権抹消訴訟―
 

  

▼関連記事

平成28年度も休眠会社の整理手続きがあります!

こんにちは、福岡県久留米市 おちいし司法書士事務所の落石憲是です。

 

長年、登記をしていない会社・法人の整理手続きが、今年もおこなわれます。

 ↓

休眠会社・休眠一般法人の整理作業の実施について|法務省

 

あなたの会社は、ちゃんと登記手続きをしていますか?

 

f:id:ochiishi:20161007124127p:plain

休眠会社・休眠一般法人の整理作業の流れ
法務省ホームページより)

 

平成28年10月13日(木)の時点で

に該当する会社・法人は、

平成28年12月13日(火)までに

  • 役員変更などの登記の申請
  • 「まだ事業を廃止していない」旨の届出

のいずれかをしないと解散したものとみなされ、登記官が職権で解散の登記をします。

「まだ事業を廃止していない」旨の届出をしたとしても、そのままほったらかしにしていると、また来年通知が来ることになりますので、早めに必要な登記手続きをするようにしましょう!

 

ちなみに、有限会社も対象外になっています。

それから、12年以内(5年以内)に登記事項証明書や会社・法人の印鑑証明書を取ったことがあっても、この整理手続きには関係ありませんので。

 

 

長い間、登記手続きをしていない会社や法人の経営者の方、ご担当者の方、

自分のところが大丈夫なのかご確認されてはいかがでしょう?

 

わからない場合は、司法書士にご相談ください!

 

ご相談予約、お問い合わせはコチラ

f:id:ochiishi:20140603154305j:plain

              ↑  ↑  ↑

お問い合わせフォームもご用意しています。24時間受け付けています。

電話はちょっと。。。という方は、お気軽にお問い合わせフォームからお問い合わせください!