休眠抵当権の抵当権者(個人)が知っている人だったら?
こんにちは、福岡県久留米市のおちいし司法書士事務所の落石憲是です。
これまでに2度、休眠抵当権のことを書きました。
いずれのケースも何度も手続きをさせていただきましたが、
今回、はじめてのケースに出会いました。
最初は、親から子への生前贈与のご相談でした。
登記情報を確認すると、たしかに親名義の不動産でしたが、
1筆だけ、明治時代に登記された抵当権が2つ(どちらも同一人物が抵当権者)
登記簿に残ったままになっていました。
そのことをお客さまにご説明すると、
「その方は知っています。
曾祖父にあたる人です。」
とおっしゃったのです。
それを聞いた私はビックリ(@@)
土地の所有者の方が昔の抵当権者のことをご存じであることは
ほとんどないだろうと思っていました。
だって、100年くらい前の人のことですから。
しかし、今回のお客さまのようにご先祖様だったらありえますね。
お客さまは、今回、この休眠抵当権の抹消もご希望でした。
さて、どうするか?
以前書いたケースでは、
供託して抹消登記をしましたが、
抵当権者を知っていると聞いたからには、この方法は使えません。
抵当権者の相続人を探す必要があります!
抵当権者は江戸時代のお生まれでしたので、
今、戸籍を請求しても廃棄されて取れなかったと思います。
でも、お客さまが30年ほど前に別の相続登記をされたときの戸籍を
保管されていて、その中に必要な戸籍があったので、
相続人を調べることができました。
総勢28名!!!
抵当権を抹消する方法は、
- 原則どおり、抵当権者全員と土地の所有者とで共同申請
- 裁判をして、勝訴判決をもとに土地の所有者だけで申請
の2通り。
1.だと、(抵当権の登記済証はないででしょうから、)
相続人全員に印鑑証明書をご準備いただく必要がありますし、
全員に法務局から事前通知がなされます。
事前通知はだれか一人でも期限までに法務局に返信しなければ
やり直しになってしまうリスクがあります。
(法務局からも嫌がられるでしょうね。)
※事前通知のことはコチラをお読みください。
だから、2.の裁判手続きを利用して手続きをすることにしました。
いきなり裁判所から訴状が届いたらびっくりされるでしょうし、
気分を害されて訴状を受け取らない人がいるかもしれません。
すると、手続きが進みません。
そこで、この抵当権者の相続人全員あてに
抹消登記手続きへの協力依頼の手紙を送りました。
数か月かかりましたが、全員から協力していただけるとの返事をいただき、
いよいよ裁判。
つづきは、次回!
▼手続きのことでご不明な点などございましたら、お気軽にお尋ねください!
↑ ↑ ↑
お問い合わせフォームもご用意しています。24時間受け付けています。
電話はちょっと。。。という方は、お気軽にお問い合わせフォームからお問い合わせください!
▼オススメ本
休眠担保権に関する登記手続と法律実務―不動産登記法70条3項後段特例、清算人選任、公示催告・除権決定、抵当権抹消訴訟―
- 作者: 正影秀明
- 出版社/メーカー: 日本加除出版
- 発売日: 2016/05/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
▼関連記事