おちいし司法書士事務所@福岡県久留米市のブログ

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北方領土の不動産を相続したら?

こんにちは。福岡県久留米市の司法書士の落石憲是です。

 

先日、安倍首相とロシアのプーチン大統領による会談が行われ、
北方領土のことも協議されたようです。

 

そこで、きょうのブログは、それに関連して?

北方領土の不動産を相続したら 、どうすればいいのか?

 について。

 

北方領土の土地や建物の従前の登記簿や台帳の所有名義人については、
相続関係を明確にしておくのが適当であるとされています。

 

しかし、現状では、北方領土の登記手続きは行われていません。

 

では、どうしたらよいのでしょう?

 

釧路地方法務局根室支局において、相続の申出がされた場合のみ、
所定の用紙に相続事項を記載する暫定的な取扱いがなされているそうです。

 

わたしも、つい最近、ツイッターで知りました(^^ゞ

 

相続による名義変更(相続登記)と同様に、

  1. 被相続人の15歳頃から亡くなるまでのすべての戸籍謄本、除籍謄本等
  2. 法定相続人の現在の戸籍謄本等(被相続人が死亡した以後に作成されたもの)
  3. (登記簿上の住所が本籍と異なるとき)登記簿(台帳)上の住所が記載された被相続人の住民票または戸籍の附票
  4. 遺産分割協議書
  5. 相続する人の住民票

を添付して申し出るようです。

 

申出書はこのようなもの

  ↓

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ちょっと違う点は、登録免許税はかからないようですね。

 

それと、住民票等に登記簿上の住所が記載されていないなど、被相続人と登記簿上の所有者と同一人であるかどうか明らかにならない場合は、独立行政法人北方領土問題対策協会が発行する同一人証明書というものがあるそうです。

              ↓

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わたしの司法書士人生で、この件に出会うことはないかもしれませんが、
備忘録として。

 

▼相続手続きのことなどでご不明な点などございましたら、お気軽にお尋ねください!

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ローン完済後しばらく経って抵当権の抹消登記をしようとしたとき、銀行の代表者が変わっていたら?

こんにちは、福岡県久留米市のおちいし司法書士事務所の落石です。

 

住宅ローンを完済しても、それですべて終わりとはなりません。

住宅ローンを借りる際、ご自宅の土地と建物に登記した
金融機関の抵当権をを消す登記(抵当権抹消登記)をしなければなりません!

 

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完済すると、金融機関から抹消登記に必要な書類が送られてくると思います。

(受け取ってないという方は、金融機関にお問い合わせください。)

 

その書類の中には、

  • 抵当権の権利証(登記済証、登記識別情報)
  • 抵当権解除証書、抵当権弁済証書などと書かれた書類
  • 金融機関からの登記委任状
  • 金融機関の登記簿(←入っていないことも多いです)

などが入っています。

受け取られたあと、しばらく手続きをしないうちに、
その金融機関の代表者が代わっていたらどうなるでしょう?

 

抵当権解除証書や委任状には、その当時の代表者名で作成されていますので、
新しい代表者名の書類に差し替えてもらうのも一つの方法でしょう。

 

でも、不動産登記法17条には、

(代理権の不消滅)
第17条  登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、次に掲げる事由によっては、消滅しない。
 一  本人の死亡
 二  本人である法人の合併による消滅
 三  本人である受託者の信託に関する任務の終了
 四  法定代理人の死亡又はその代理権の消滅若しくは変更

と定めてあり、

旧代表者の委任状を使って手続きできるのです。

 

通常の場合と違って、申請書には

旧代表者の代表権が消滅した旨

を記載しなければなりませんので、以下のようになります。

 

 

    登記申請書

 

登記の目的 1番抵当権抹消

 

原因 平成28年4月1日 解除

 

抹消すべき登記 昭和●年●月●日受付第●号
        共同担保目録(●)第●号

 

権利者 A

 

義務者 株式会社B銀行
     代表取締役 D

   (会社法人等番号 0000-00-000000)

 

添付書類 登記原因証明情報 登記済証 代理権限証書
     会社法人等番号※   

 

登記識別情報を提供できない理由 登記済証を所持しているから

 

平成28年11月10日申請 ●法務局 ●支局

代理人 福岡県久留米市日吉町16番地1 ダイマンビル6階
     司法書士 落石憲是
     電話番号 0942-32-0020

登録免許税 金2,000円

 

その他事項 登記義務者の代表者Cの代理権限は消滅している。

代理権限を有していた時期は平成●年●月●日から平成●年●月●日である。


不動産の表示 (省略)

 

 

会社法人等番号によって旧代表者Cが代表権を有していたことを確認できない場合は、旧代表者Cの記載がある登記事項証明書を添付する必要があります。

 

申請書に記載する金融機関の代表者の氏名は、

登記申請時における代表者の氏名を提供すべきであり、
委任をした旧代表者の氏名を提供した場合には、
不登法第25条第5号に抵触するため、補正の対象となる

(「登記情報659号」p23)

 とありました。

 

ちなみに、以前、旧代表者の氏名を書いて申請して、
補正することなく完了した記憶があるので、
法務局によって取り扱いが異なるのかもしれません。

上記の論文は、法務省の担当者らが書いたものですので、
これに従って申請すればよいかと思います。

 

 

※抵当権抹消登記についてのくわしいことは、

www.ochiishi-office.jp

をご覧ください。

 

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いよいよ抵当権設定登記抹消登記手続請求事件の裁判、そして登記!

こんにちは、福岡県久留米市のおちいし司法書士事務所の落石憲是です。

 

休眠抵当権を裁判を利用して抹消する手続きを

 

と書いてきましたが、今日は最終回!

 

訴状は、以下のとおり。

 訴  状

 

平成28年●月●日 

●●簡易裁判所 御中

原告訴訟代理人司法書士 落石 憲是(職印)


当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり


抵当権設定登記抹消登記手続請求事件


訴訟物の価格   金295円
貼用印紙額   金1000円

 

第1 請求の趣旨

1 被告らは、原告に対し、別紙物件目録記載の土地についてなされた別紙登記目録記載の抵当権設定登記の明治36年3月21日混同を原因とする抹消登記手続をせよ。

2 訴訟費用は、原告の負担とする。


との判決を求める。

 

第2 請求の原因

1 別紙物件目録記載の土地(以下「本件土地」という。)は、原告の所有である(甲1号証)。

2 本件土地には、別紙登記目録記載の●●法務局●●支局明治31年●月●日登記(以下「1番抵当権」という。)及び明治33年●月●日受付第●号(以下「2番抵当権」という。)の訴外Aを抵当権者とする抵当権設定登記が記載されている(甲1号証)。

3 抵当権者訴外Aは、明治36年3月21日、本件土地の所有権を売買により取得した(甲2号証)。

4 1番抵当権及び2番抵当権は、同日、混同によって消滅した。

5 1番抵当権及び2番抵当権の抹消登記を経ないうちに、抵当権者訴外Aは、大正●年●月●日に死亡した。そして、その後数次の相続を経て、抵当権者の地位は別紙相続関係図記載の被告らに相続された。
 なお、相続の経緯は、別紙相続関係図記載のとおりであり、抵当権者訴外Aの相続人は他にはいない。

6 よって、原告は、被告らに対し、明治36年3月21日混同を原因とする1番抵当権及び2番抵当権の抹消登記手続を求める。


証拠方法

甲1号証 登記事項証明書
甲2号証 閉鎖登記簿謄本


付属書類

1 訴状副本 ●通
2 甲号証写し ●通
3 固定資産税評価証明書  1通
4 相続証明書        一式
5 訴訟委任状  1通

(別紙)当事者目録 省略

(別紙)物件目録 省略

(別紙)登記目録 省略 

 

訴状を提出後、書類の重さを確認して、
予納郵券の組み合わせの連絡をいただくことになりました。

 

数日後、裁判所から連絡があり、
予納郵券の額は合計で、79,070円!!!

はじめてこんなにたくさんの切手を買いました(笑)

※ちなみに、裁判終了後、14,000円ほど戻ってきましたが、
 500円とか100円の切手が大量にあって、どうやって処理するか思案中です(笑)

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相手方が多数のため、初回期日は約2か月半後が指定されましたが、
奇跡的に28人に1回で送達できたそうで
2か月半も開ける必要はなかったと、書記官さんからお聞きしました。

 

裁判自体は、ものの数分で終了し、答弁書の提出もなく
その日に判決となりました。

 

これで終わりとはならず、
判決文を全員に送達されて、2週間経過して判決が確定となります。

 

2週間経過後、確定証明書(印紙は150円分)を取って、ようやく登記手続き。

 

申請書は、以下の通り。

 

 登記申請書

 

登記の目的 1番、2番抵当権抹消

 

原因 明治36年3月21日 混同

 

権利者(申請人)X

 

義務者 A
   (上記相続人)省略

 

添付書類 登記原因証明情報(判決正本、確定証明書)(特例)
     代理権限証書(特例)

 

平成●年●月●日申請 ●●法務局 ●●支局

 

代理人 福岡県久留米市日吉町16番地1 ダイマンビル6階
    司法書士 落石憲是
    電話番号 0942-32-0020

 

登録免許税 金1,000円


不動産の表示 省略

 

念のため、参考資料として、閉鎖謄本のコピーはつけましたが、
戸籍一式はつけずに申請しました。
判決理由中に記載があるので。

 

※ちなみに、裁判所に提出した戸籍は原本還付しました。
 全部コピーするのは大変でした(^^ゞ

 

以上で無事、休眠抵当権を抹消することができました。

 

戸籍取得費や裁判の予納郵券などがあるので、
供託して簡易な手続きで抹消登記することと比べると
数倍費用がかかりますね。

 

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▼オススメ本

休眠担保権に関する登記手続と法律実務―不動産登記法70条3項後段特例、清算人選任、公示催告・除権決定、抵当権抹消訴訟―